日本文化を探る
何気ない日常会話に潜む仏教用語 其の四
私たちは、日常の生活の中でそうとは知らず仏教用語を使って話しをしていると言います。同じ意味で使われているものもあれば、まったく異なる意味として使われているものもあるようです。本来の意味を知ると、その言葉を深く感じることができますし、なぜその言葉が使われるようになったのかの由来を知るとさらにその言葉自体にも納得できるかもしれません。この記事では、筆者や、筆者の身近にいる人たちとの何気ない会話から仏教用語をご紹介していこうと思います。
友人「最近ごたごたが続いて、なんだか仕事ははかどらないし、気分転換にネットを見ていると何かと買ってしまう。」
筆者「わかるわ~。私も仕事が停滞すると通販サイト見てしまう。しかも夜中って危険。冷静さを失っている時間帯(笑)」。
友人「そうそう、ついつい押してしまうよね。物が届くとウキウキなんだけど、親からまた買ったのかとか、何を買ったのかとか、うんたらかんたら言われるのがマジ億劫。」
筆者は、パソコンの前に一日中座っていることが多いので、仕事が進まないとよく通販サイトを見ます。ネットショッピングは、時間を問わず購入できるし、海外ではない限り2、3日もすれば自宅に届くのでとても便利です。日用品はもちろん、おいしそうなものがあるとついつい食べたくなってポチッとやってしまうのです。消費できるものはいいのですが、消費できず、家の中で場所をとってしまうものもあります。それは、運動不足解消のために購入した運動器具。最初のやる気が持続せず、三日坊主で終わってしまい、今では洋服やカバンがかかっています。
さて、今回の会話の中に仏教用語はいくつ入ってたでしょうか。
筆者「わかるわ~。私も仕事が停滞すると通販サイト見てしまう。しかも夜中って危険。冷静さを失っている時間帯(笑)」。
友人「そうそう、ついつい押してしまうよね。物が届くとウキウキなんだけど、親からまた買ったのかとか、何を買ったのかとか、うんたらかんたら言われるのがマジ億劫。」
筆者は、パソコンの前に一日中座っていることが多いので、仕事が進まないとよく通販サイトを見ます。ネットショッピングは、時間を問わず購入できるし、海外ではない限り2、3日もすれば自宅に届くのでとても便利です。日用品はもちろん、おいしそうなものがあるとついつい食べたくなってポチッとやってしまうのです。消費できるものはいいのですが、消費できず、家の中で場所をとってしまうものもあります。それは、運動不足解消のために購入した運動器具。最初のやる気が持続せず、三日坊主で終わってしまい、今では洋服やカバンがかかっています。
さて、今回の会話の中に仏教用語はいくつ入ってたでしょうか。
-ごたごた
種々の物が雑然と入り混じって整理が悪いさま。とりとめもなくあれこれと言い続けるさま。もめていたり、突発的な出来事でとりこんでいたりするさま。(広辞苑より)
オノマトペかと思っていましたが、実は仏教由来の言葉だそうです。鎌倉時代に宋から来日した僧、兀庵普寧(ごったんふねい)という禅師の言葉が理屈っぽく訳が分からないことから、理路整然としていないことを「ごったんごったん」と言うようになり、それが縮まって「ごたごた」となったそうです。ちなみに「ごった煮」の名前の由来も兀庵普寧からだそうですよ。
オノマトペかと思っていましたが、実は仏教由来の言葉だそうです。鎌倉時代に宋から来日した僧、兀庵普寧(ごったんふねい)という禅師の言葉が理屈っぽく訳が分からないことから、理路整然としていないことを「ごったんごったん」と言うようになり、それが縮まって「ごたごた」となったそうです。ちなみに「ごった煮」の名前の由来も兀庵普寧からだそうですよ。
-うんたらかんたら
「なんたらかんたら」「なんちゃらかんちゃら」「うんぬんかんぬん」と使うことが多いでしょうか。はっきりと覚えてないことをいう時によく使いますが、この言葉も仏教由来。お寺にお参りに行くと、仏様の横に置かれた御真言を見たことはありませんか。例えば、如意輪観世音菩薩であれば「おん ばらだ はん どめい うん」、十一面観世音菩薩は「おん まかきゃろにきゃ そわか」などです。これは梵語(サンスクリット)をそのまま音写したものになるのですが、不動明王の御真言が「のうまく さんまんだ ばさら だん せんだ まかろしゃだ そわたや うんたらたかんまん(真言宗系)」「なまく さまんだ ばさらなん せんだ まかろしゃな そわたや うんたらた かんまん(天台宗系)」と長い! 一般の人たちが聞き取れる部分が最後の「うんたらたかんまん」という部分だけだったことから、うろ覚えのことを「うんたらたかんまん」→「うんたらかんたら」となったといいます。
-億劫
「面倒臭い」または「面倒臭くて気が進まないこと(さま)」のことですが、「億劫」は仏教用語で、とてつもなく長い時間を表します。億劫の「劫」はサンスクリット語の「kalpa」の音写で、古代インドの最長の時間の単位ということですが、いったい「一劫」はどれぐらいの時間なのでしょうか。ネットで検索してみると、「100年に一度、天女が高い岩山に降りてきて、羽衣で頂上を撫で、その摩擦でその岩山が消滅するまでの時間」だとありました。“なんじゃそりゃ!”です。さらに、調べてみると、なんと43億2000万年に相当するとありました。ということは、億劫は43億2000万年の1億倍ということになりますが、筆者は計算ができません(笑)。計り知れない時間がかかることは簡単ではなく、面倒に感じることから「面倒臭い」の意味で用いられるようになったそうです。意味を知ると長すぎて、無気力になってしまいます。-三日坊主
何かを始めても続けることが苦手な人のことを言いますが、なぜ「ボウズ」なんでしょうか。故事ことわざ辞典によると「僧の修業というものは、早朝からお勤めが始まり、食事も粗食で規則正しい生活を強いられる。出家しても、中途半端な気持ちでは修業の厳しさを乗り越えられず、三日たったら還俗」(出家した人が再び続人に戻ること)してしまう人がいることからできた言葉」とありました。修業の厳しさに心が折れてしまい、3日でやめてしまったことが転じて、飽きっぽい人のことをこのようにいうのですね。
最近、兀庵さんのように訳のわからないことを周囲から言われて、仕事がはかどらないので、気分転換にネットショッピングをしてしまう友人。しかし物が届くと、親から“また何を買ったのか”などと覚えきれないほどの長い小言を言われ、いちいち説明すると43億2000万年の1億倍も時間がかかってしまうので面倒だと思ってしまうわけです。筆者もいろいろと買ってしまうわけですが、勢いで買ってしまった運動器具を使い続けることの厳しさを知り、心が折れてしまい、とうとうただの置物になってしまっている。カートに入れても一晩ぐらいは“本当に必要なのかを考えたほうがいい”というお話でした。
ライター:惣元美由紀
画像素材:PIXTA
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