3日間で1200年in坂本(2日目)

大学コラボプロジェクト

3日間で1200年in坂本(2日目)

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2020年2月22日~24日 大学コラボプロジェクトメンバーによる企画 「3日間で1200年 in 坂本」を開催!

「3日間で1200年in 坂本」
《2日目》
■食の交流~精進料理のふるまい~
時 間:17:30~第一部(お膳の食/一汁一菜)
    18:30~第二部(交流会/オリジナル精進料理)
場 所:滋賀院門跡
テーマ:地場仰木野菜、棚田米をいただく
    普段は捨ててしまいがちな所も余すことなく

【精進料理メニュー監修・指導】

福昌寺(神奈川県川崎市) 副住職 飯沼康祐(こうゆう)さん 19歳の夏に比叡山延暦寺で出家得度。大学時代に職を通じた布教を志し、卒業後は、都内の飲食店で料理修業をしながら調理師免許を取得。2013年「ダライ・ラマ法王と若手宗教者100人の対話」でも料理をふるまう。著書に「簡単!お寺ご飯 心もカラダもきれいになる」(徳間書店)がある。



2日目は、本企画のメインイベントとなる「食の交流会~精進料理のふるまい~」を開催。これは、学生たちが坂本の住人として3日間過ごす中で、地域の方々と会話をする時間を持ちたいという思いから、今回のプログラムに「交流会」が盛り込まれました。
里坊(※)に泊っている学生が朝の勤行を終え、滋賀院門跡に集合。新たに学生2名が加わり20名が夕方からの交流会の準備を行いました。
※里坊:一般に比叡山延暦寺の僧侶が里に設けた院や坊のこと

学生たちは精進料理を作るチームと会場作りを担当するチームの2チームに分かれました。精進料理を作るチームは、準備段階からお世話になっている、天台宗 福昌寺(神奈川県川崎市) 副住職の飯沼康祐さんのご指導のもと滋賀院門跡の炊事場で、第1部のお膳の食のすべてと第2部の調理を行いました。野菜は比叡の麓・仰木の農家さんからのご提供です。

もう1チームは会場作りを担当。座布団や御膳の配置、掃除、そして夕方からいらっしゃるお客様の受付や案内板の準備に大忙しでした。
お客様へは伝教大師最澄が唐から持ち帰ったと言われる日吉茶を美味しく淹れる練習も行い、着々と会場を整えました。

食に関するすべてのことに感謝をしながら静かに食す第一部

「食の交流会」に招待したお客様は、コミュニケーションサイト「いろり」でインタビューを受けていただいた方々や坂本、下阪本、仰木など地元地域の方、そして伝教大師最澄1200年魅力交流委員会関係者など総勢30名。
第一部では、一汁一菜(日吉茶と里芋のおかゆ・風呂吹き大根のお吸い物・たくあん・かぶの塩漬け)が膳に配され、前日に学生たちが「食の修行」で体験した食事作法でいただきます。もちろん、お客様の皆さんも例外ではありません。緊張感の漂うなか、交流会のスタートです。食事作法についてのお話しをしていただいた比叡山延暦寺 教化部 部長の小鴨さんからは「意外と大人のほうができないんです」という言葉が、すでに部屋中に充満している緊張ムードをさらに高めましたが、お客様のみなさん、さすがです。「誰ですか! 音を立てたのは!」なんていう厳しい言葉が飛ぶこともなく、ほぼ無音のまま、美しく食事が終了しました。

前日に「食の修行」を体験している学生たちからは「魚や肉がない料理というわけではなく、それぞれの食材に思いを馳せ、ありがたみを心から感じる」「一つ一つの命が口に運ばれるぎりぎりまでどのような人生を過ごしてきたかを思い、いただく命に感謝し、その分、自分も精進して生きますと心で伝える料理であることを心で理解できるようになった」と食に対する理解がこの2日間でかなり深まったようでした。
お客様のみなさんからは「音を立てず、話をせずに食事をする初めての体験で、非常に緊張しました。無音だからこそ、改めて食物の命に思いを馳せることができました」「大変緊張しました。久しぶりに気を引き締めた気持ちになりありがとうございました」「昔、子供の頃に祖父母達からの教えが思い出した」という声が聞かれました。

[一汁一菜メニュー]
・日吉茶と里芋のお粥
・風呂吹き大根のお吸い物
・沢庵、かぶの塩漬け

オリジナル精進料理を通して学生たちの思いを伝え、地元の方々と交流を深めた時間

緊張感漂う第一部とはガラリと雰囲気を変え、第二部ではオリジナル精進料理でのおもてなし。この企画の主旨である、坂本の方々と学生が交流できるようにテーブルの配置替えをし、各テーブルに学生2、3名がお客様たちに混じって座りました。会の進行も、料理の説明も学生たちが担当です。お客様の席には学生たちによる手作りの献立表がおかれ、メニューの紹介や学生たちの想いを込めたメッセージも添えられました。
今回、料理の監修および学生たちの指導していただいた飯沼師からは「精進料理は、精進料理だと思って作らないと、またそう思って食べていただかないと、ただの野菜料理なんです」という言葉に、みなさん何度もうなずいていらしたのが印象的でした。

[オリジナル精進料理の内容]

●比叡とろ湯葉と出汁がらのオイル煮
●茶殻おにぎり(手まり風)
●コンフィオイルのサラダ
●南瓜のとも和え 湯葉のつけ焼きのせ
●精進鰻丼
●キノコ味噌のコロッケ
●スパゲティ精進ミートソース

年の離れたお客様や学生達も時間が経つにつれ、お互い少し硬かった表情も和んでいきます。
各テーブルでは、料理の話しや、地元の話し、どのような思いで大学コラボプロジェクトに参加したのかなど、お客様の皆さんも学生たちに興味津々のご様子で、話もどんどん弾んでいきます。

今回の交流を通し学生からは「開催するまでは、本当に緊張と不安との繰り返しだった。しかし、無事に開催できたことで、お客様の方々がどれほど楽しみにしてくださっていたのかを実感できた時間だった。大事なのはスキルや経験ではなく、誇りが滲み出るくらいの強い思いなのだとはっきり分かった」「地元のみなさんは坂本のことが大好きで、みんながそれぞれの角度から坂本を支えているんだということがひしひしと感じた。坂本のことをほんとに嬉しそうに教えてくれて、私も坂本の住人の一員になったみたいで誇らしくなった」と、開催するまでは不安だった気持ちもお客様のみなさんの温かい心に触れ、楽しく過ごせたようです。
また「どの方も延暦寺や日吉大社がある坂本のまちに誇りを持っているということを強く感じた。それと同時に僕たちに坂本や延暦寺等の魅力を伝えていくことに関して大きな期待を寄せていただいているということも強く感じた」と、自分たちのこれからに期待されていることも感じた時間でした。

学生からのもてなしを受けたお客様からは「学生さん達がお世話になった地元の方々を招待し、接待されたのはよかったと思う。私たち地元の人間も、今回の取り組みに、一層理解を深めることができた」「今回の試みが試食で終わるのでは無く、坂本活性化の為、継続されることを切に希望する」「学生とゆっくり話すことができた。精進の枠組みの中で工夫がなされた食事の数々に、今回限りで終わらせるのは非常にもったいないと思った」と、今後もこのような企画が続くことに期待したいという声も多くいただきました。