3日間で1200年in坂本(1日目)

大学コラボプロジェクト

3日間で1200年in坂本(1日目)

TOP > 大学コラボプロジェクト > 3日間で1200年in坂本(1日目)

2020年2月22日~24日 大学コラボプロジェクトメンバーによる企画 「3日間で1200年 in 坂本」を開催!

「3日間で1200年 in 坂本」は、伝教大師最澄1200年魅力交流の取り組みのひとつで、大学コラボプロジェクト参加大学生たちが主体となって実現させた企画です。
企画にあたり、学生たちにとって“1200年というとてつもない長い歴史をどう理解するか”が課題でした。2019年3月から活動を開始し、約1年、何度もワーキングを重ね、そして、1200年の歴史伝承を担ってきた地域の方々と話しをする中で、学生たちは「長い歴史を担ってきた地域の方と同じ気持ちになることが大事」だと考えました。そこで、1200年のうちの3日間だけでも坂本の住民になることを発案。自分たちが1200年の歴史を伝承する中のほんの小さな役割だとしても、自分たちができることをやってみよう。それが「3日間で1200年 in 坂本」です。
この企画には、大学コラボプロジェクトⅠ期メンバー、新規メンバー、外国人留学生、計20名の学生が参加しました。
「3日間で1200年in 坂本」
《1日目》
■参加証授与式
時 間:10:00~10:30
場 所:根本中堂(比叡山延暦寺・東塔)
テーマ:坂本の住民になる

■坐禅止観(修行)
時 間11:00~12:15
場 所:法華堂(比叡山延暦寺・西塔)
テーマ:心静かに己と向き合う
※法華堂:通常は内部非公開。同じ形をしたお堂が廊下でつながっている。弁慶が両堂をつなぐ廊下に肩を入れて担ったという言い伝えから「にない堂」とも呼ばれる。重要文化財。

■食の修行
時 間:12:45~14:00
場 所:延暦寺会館(比叡山延暦寺・東塔)
テーマ:ひとつひとつの食材と向き合い、食材に関するすべての事柄に感謝することを知る

「3日間で1200年 in坂本」の開始は比叡山延暦寺根本中堂

本企画の無事を祈願するために比叡山延暦寺の総本堂 根本中堂へ。根本中堂では、延暦寺の小堀執行による参加証授与式が行われ、学生たちが昨年の春から取り組んで来た「3日間で1200年 in 坂本」がスタートしました。
授与式では、小堀執行より「こうして学生のみなさんの企画が実現できたことに大変感激している。この若いパワーを持って、伝教大師最澄様のお心をぜひ広めていただきたい」と話され、また、「この3日間を有意義のある日にしてもらいたい」と学生たちにエールを送っていただきました。

坐禅止観~五感を研ぎ澄まし「自分と向き合う」時間を育む~

「体験」としての坐禅ではなく、比叡山延暦寺の僧侶たちが行う実際の修行を、身を持って知りたいと学生たちが熱望した坐禅止観。比叡山延暦寺様のご好意により、神聖な修行の場であり、通常は非公開の「法華堂」での修行が実現しました。比叡山延暦寺で1200年前から続く修行のひとつ、常坐三昧(坐禅止観)を比叡山延暦寺教化部 河合智信さんに足や手の組み方、坐相の姿勢、調息(呼吸の整え方)などの説明を受け、学生たちは約30分の坐禅に挑みました。

坐禅が始まると堂内は、ロウソクが灯すほのかな明かりだけ。当日は雨だったこともあり、雨の音が心地よいリズムを刻み、止観の世界へと誘います。
坐禅止観を体験した学生たちの中には、「静かな空間で暗闇の中、ただひたすら瞑想することで、いかに自分に邪念が多いかを知った。自分を見つめ直すというと簡単にできそうに思えるが、実際はそこに至るまでにも難関があると分かった」「数を数えようと思ったが足がしびれたとか、体勢がきついなどといった苦痛の気持ちが邪魔をして、そこから全然だめだなーとか、お坊さんはすごいなーなどと考えが連想ゲームのように続いた。『無』はむずかしい」など、精神を集中し心を静寂に保つことの難しさを実感する学生たちが多くいました。
その一方、「短かった。集中していたから時間の流れなどを感じなかった」「30分が3分の1くらいに感じた」「真っ暗でほとんど何も聞こえない空間は、自分と1対1で向き合うことができ、今まで気付かなかった自分に気付くことができた」「自分を律すること、無になることを少し実感できたような気がする」「坐禅によって、坐禅をする意義、また仏教(天台宗)の教えを肌身で感じられたことは、自分の人生に大きく役立つだろうと感じた」など、精神(意識)を集中させ、自分と向き合う時間をしっかりと持てた学生や、坐禅の意義を肌で感じた学生もいたようです。

坐禅止観を行った「法華堂」

写真手前のお堂が四種三昧(常坐三昧・常行三昧・半行半坐三昧・非行非坐三昧)のうち、半行半坐三昧(法華三昧)を修す普賢菩薩をご本尊とする「法華堂」、奥のお堂が常行三昧を修す阿弥陀如来をご本尊とする「常行堂」。

食の修行~食べることは感謝であり、余すことなくいただくことを学ぶ~

午後からは、ひとつひとつの食材と向き合い、食材に関係するすべてのことに感謝することを知る「食の修行」。延暦寺会館の主事補 誉田玄樹さんより僧侶の斎食儀(さいじきぎ)についての心構えやマナーについて説明を受けました。

部屋に用意された一汁一菜を前に、手を合わせ、呪願(しゅがん)、唱念三宝、般若心経などを唱えた後、
①話はしない
②音は立てない
③ひとつひとつ器を手にとって食べる
④残さない
⑤最後に器を洗う(洗鉢)
以上の5つのルールを守りながら食事をいただきます。

食器を置く音がコツンとなると、誉田師より「誰ですか! 音を立てたのは!」といった厳しい言葉が、時おり静かな部屋に響きます。
無音で食事をすることばかりに神経を注いでいた学生たちも次第に、「食事とは、自分が生きるために他の命を殺す行為であることを改めて痛感し、“いただきます”“ごちそうさまでした”という言葉の重みや、他の命の分まで精進していかなければならないという誓いであることを身に染みて感じた」など、決まりやカタチが大切ではなく、その向こう側の感謝の気持ちとは何かを考えるようになりました。

なかでも、学生たちにとって印象的だった作法が「洗鉢」。「洗鉢」とは、最後に残したたくあんとお茶を使って、すべての器をキレイにするという作法です。そのまま飲んだほうがおいしいはずのお茶を、器を洗うために用いて、汚れたお茶を飲むということに驚いた学生もいましたが、「たくあんで最後に洗鉢し、そのお茶を飲み干すのは、単なる儀式的なものではなく、水のムダを省くという意味もあるということは響いた。お茶でキレイにすることで殺菌作用もあるため理にかなった方法だと思った」など、食べ物を残さないようにするだけでなく、あらゆるものを無駄にしないという姿勢に感銘を受けたようです。