湖南三山・長寿寺の室町時代に作られた「地蔵曼荼羅」の修復を見学
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探訪「1200年の魅力交流」

湖南三山・長寿寺の室町時代に作られた「地蔵曼荼羅」の修復を見学

滋賀県にある湖南三山のひとつ国宝長寿寺の蔵に安置されていた、室町時代に作られた貴重な地蔵曼荼羅を修復されている藤本松雲堂にお伺いして、実際の修復作業を見学させて頂きました。

500年以上前に作られたこの曼荼羅は、お地蔵様の6つの腕(六臂/ろっぴ)の周りに、約1万2千体の小さなお地蔵様が描かれた非常に珍しい曼荼羅です。ご住職の藤支さんによれば、長寿寺の蔵から取り出した時はかなり傷みが進んでおり、このままでは劣化し剥離してしまうと考えた藤支さんは、曼荼羅に込められた先人の想いを次の世代に伝えていきたいと考え、『地蔵曼荼羅修復プロジェクト』としてクラウドファンドを立ち上げ修復に取り組み始めたそうです。

修復は数々の文化財の修復を手掛けられている藤本松雲堂の藤本さん。
今回は修復作業の中の「折伏し」という、曼荼羅の折れ癖に補強の紙を当てる作業を見学させていただきました。

部屋を暗くして、折れている箇所の影を見つけて補強の紙を貼るという、繊細で緻密(ちみつ)な職人技を見学していると、電気のない時代は夜にロウソクや月の光などで影を見つけて作業していたのだろうと藤本さんはおっしゃいました。その作業は途方もないほどの細かさで進められていきますが、徐々に変わっていく曼荼羅を見ていると、何百年もの昔に日本人が作ったものを今の技術が修復するという時代が紡いできた匠の技のすばらしさを感じることができました。
文化財を次の世代に残したいという藤支さんの強い思いと、こういった人から人へとつながれてきた職人の技が今も息づいていること、その両方がなければ文化財は残っていかないのだと思うと、自分達も何かできることはないのか、と考えさせられる機会になりました。

地蔵曼荼羅は今年の秋に修復を終える予定とのこと。ぜひ出来上がりを見に行きたいと思います!

※長寿寺の地蔵曼荼羅修復プロジェクトを応援される方はこちらをご覧ください